
フロン排出抑制法では、業務用冷凍空調機器の管理者に対して、定期的な点検の実施を義務付けています。この法律は、フロン類の使用の合理化や管理の適正化を促進し、地球環境の保護を目的としています。点検には、機器の種類や冷媒充填量に応じて、簡易点検と定期点検の2種類があり、それぞれ実施頻度や方法が定められています。管理者は点検結果を記録し、機器の廃棄まで保存する必要があります。
【具体例】
冷媒充填量が7.5kg以上の業務用冷蔵庫の場合、3ヶ月に1回の簡易点検に加えて、年1回以上の定期点検が必要です。
2. 業務用冷蔵庫のフロン点検の種類と実施方法
フロン点検には、全ての第一種特定製品に対して実施が必要な「簡易点検」と、一定規模以上の機器に対して実施が必要な「定期点検」があります。簡易点検は、管理者自身が目視や聴覚による異常の有無を確認する方法で、少なくとも3ヶ月に1回の実施が必要です。一方、定期点検は専門知識を持つ資格者による点検が必要で、冷媒充填量に応じて実施頻度が決められています。
【具体例】
簡易点検では、冷凍機の異音、製品外観の損傷、異常な振動、油にじみなどを確認します。チェックリストを用いて、系統的に点検することが推奨されています。
3. フロン漏えい時の対応と記録管理のポイント
フロン漏えいが発見された場合、速やかな対応と適切な記録管理が法令上求められています。漏えいを発見したら、直ちに専門業者に連絡し、冷媒回収と修理を依頼する必要があります。フロン排出抑制法では、年間漏えい量が1,000CO2-t以上の場合、事業者は国への報告が義務付けられています。また、修理完了後は、漏えい箇所、発見日時、対応内容、修理完了日などを記録し、点検・整備記録簿に記入して3年間保管しなければなりません。定期点検時には、過去の漏えい履歴を確認し、同じ箇所での再発がないか注意深く点検することが重要です。漏えい防止のため、配管接続部や圧縮機、熱交換器などの重要部位は特に入念なチェックが必要です。
【具体例】
冷凍機の配管接続部からの漏えいケース:
・発見日:2024年1月15日
・漏えい箇所:冷凍機液管フレア接続部
・対応内容:フレアナット増し締め、漏えい確認試験実施
・記録項目:気密試験結果、修理報告書、フロン回収量
業務用冷蔵庫のフロン管理は、環境保護と法令遵守の両面で重要な責務となっています。定期点検による早期発見と予防保全、適切な記録管理が事業者に求められる基本的な取り組みです。特に、フロン漏えいを防ぐための日常点検と定期点検は確実に実施し、異常の兆候があれば速やかに対処することが大切です。また、点検・整備記録は法定期間の保管が必要なだけでなく、機器の管理履歴としても重要な資料となります。フロン排出抑制法の改正により管理基準が強化される傾向にあるため、最新の法令情報にも常に注意を払い、適切な管理体制を維持していくことが求められています。専門業者との連携を密にし、計画的な保守管理を実施することで、環境負荷の低減とコンプライアンスの確保を実現できます。